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レジデンス連携2020.3.23

Res Artis Meeting 2019 京都「創造的遭遇-アーティスト・イン・レジデンスの再想像」

京都芸術センターは京都市と連携した「AIR連携拠点事業」において、シンポジウムやラウンドテーブルの開催、それによるAIR施設間のネットワークの構築を行ってきました(2016年度シンポジウム2017年度ラウンドテーブル)。その成果を踏まえ、さらなる国際的なネットワーク構築を図り、国内のAIRを活性化させることを目的とし、世界的AIRネットワークRes Artis(レザルティス)と協働してアーティスト・イン・レジデンスに関する国際会議「Res Artis Meeting 2019 Kyoto」を開催した。
会議では、「時間と場所」を提供するという典型的なAIRプログラムと共に、変わりゆく社会経済に対応した新しいAIRモデルを取り上げ、これらの新しいモデルをどのように評価していくべきなのか、AIRはどのように社会と関わり、アーティストのニーズに応えていくことができるのか、また、これらの革新的なモデルはどのように立ち上げられていくのかについて考え場となった。

2012年の東京大会以来、7年ぶりの日本でのレザルティスミーティング開催となった。日本のAIRもこの7年で様変わりし、国外のAIRオーガナイザーにとっても2012年以来、変化しつつある日本のAIRの現状を知る機会となった。ミーティングには30の国と地域から170名の参加者を得ることができ、日本の、また京都という街への関心の高さがうかがえた。
議論では、環境問題、シェアリングエコノミー、高齢化社会などの現代社会の諸問題に応答するためのアーティスト・イン・レジデンスの新しいモデルの可能性について話された。大きなトピックであり、本ミーティングですぐに回答が得られるものではないが、先進的な活動をするAIRの事例紹介などを通して、今後に活かしていくためのトピックを提供できた。
3日目には、京都市内のアートスペースを実地見学するプログラムを組み入れ、参加者に京都の多様なアートシーンを体験していただいた。アーティストのシェアスタジオ、国外の政府機関によるレジデンス、アーティストランのゲストハウス兼ギャラリーなど、個性的なアートスポットがひしめく京都の面白さを体感していただいた。
本会議をきっかけに、国内外のAIRで連携の話が進むなど、実際にネットワーキングの場として機能したようだ。この経験を日本のアーティストへどのように還元していけるか、そのためのプラットフォームをどのように作っていけるかを今後の課題としたい。

レザルティスミーティング2019京都「創造的遭遇-アーティスト・イン・レジデンスの再想像」
開催日:2019年2月6日 (水) – 2019年2月8日 (金)
会場:京都芸術センター、京都市立芸術大学、ヴィラ九条山、ゲーテ・インスティトゥート・ヴィラ鴨川、kumagusuku、青春画廊、Art Space寄す処、VOSTOK
参加者数:174名(30の国と地域)

主催:京都市、京都芸術センター、レザルティス財団、文化庁
後援:ゲーテ・インスティトゥート・ヴィラ鴨川、アンスティチュ・フランセ日本-ヴィラ九条山、関西広域連合
助成:オランダ王国大使館
協力:京都市立芸術大学、AIRネットワークジャパン

【主なプログラム】
基調講演「変転する社会情勢とアーティスト・イン・レジデンスの役割」
日時:2019年2月6日(水)14:00-15:00
登壇:近藤誠一(公益財団法人京都市芸術文化協会理事長)

ディスカッション “Context for Change”
モデレーター:Sarah Graner(Res Artis理事/オーストラリア)
登壇者:山本麻友美(京都芸術センターチーフプログラムディレクター)、Anupama Sekhar(Asia Europe Foundation文化部ディレクター/シンガポール)、Taru Elfving(CAA Contemporary Art Archipelagoアーティスティックディレクター/フィンランド) 


プレゼンテーション “Overview of arts residencies in Japan”
モデレーター:小田井真美(さっぽろ天神山アートスタジオプログラムディレクター)、吉田雄一郎(城崎国際アートセンタープログラムディレクター)、庄子渉(PARADISE AIRプロデューサー)、森純平(PARADISE AIRディレクター)、Heidi Vogels(TransArtists、Dutch Culture AIR Platform NLコーディネーター/オランダ)、Marie Fol(On the Move理事/オランダ)

パネルディスカッション “Residencies that Revitalize Communities”
モデレーター:朝倉由希(文化庁地域文化創生本部 総括・政策研究グループ 研究官)
日沼禎子(AIRネットワークジャパン事務局長、陸前高田AIRプログラムディレクター)、Arie Syarifuddin(Jatiwangi Art Factory AIRコーディネーター/インドネシア)

ビデオプレゼンテーション “New Residency Typologies”
出演:Jean-Baptiste Joly(Akademie Schloss Solitude元創設ディレクター兼アーティスティックディレクター、Res Artis理事/ドイツ)、Anna Lovecchio(NIU Centre for Contemporary Artレジデンスキュレーター/シンガポール)

ペチャクチャプレゼンテーション
モデレーター:菅野幸子(AIR Labリサーチャー)
出演:Petra Johansson & Davor Abazovic(Art Inside Out/スウェーデン)、Maayan Strauss(Container Artist Residency/アメリカ合衆国)、Wataru Shoji(PARADISE AIR/日本)、Drew Bennett(Facebook Residency/アメリカ合衆国)、Mkrtich Tonoyan(アーティスト、Akos Cultural NGO/アルメニア)、Cai Liyuan(LUXELAKES. A4 Art Museum/中国)、Neta Meisels(Hamiffal/イスラエル)

ワークショップ ”Res Artis Workshop for Emerging Arts Residencies”
講師:Maryam Bagheri(Res Artis MENASAクラスターコーディネーター/イラン)、Vincent Liew(Res Artis理事/シンガポール)

ワークショップ ”Microresidencies”
講師:村田達彦(遊工房アートスペースディレクター、Res Artis名誉理事/日本)、Antti Ylonen(Waria Artbreak/フィンランド)、Mkrtich Tonoyan(ACOSS/アルメニア)、松崎宏史(Studio Kura/日本)、Gideon Smilansky(Artist-Run Alliance/イスラエル)ほか

ワークショップ ”New Website training for Res Artis”
講師:Birte Gehm(Res Artisコミュニケーションマネージャー/ドイツ・オランダ)、Tony Youssef(NOW Digital/オーストラリア)

ワークショップ ”Archiving residency outcomes”
講師:小田井真美(さっぽろ天神山アートスタジオディレクター)

ワークショップ ”Ensuring diversity in your residency program”
講師:Lisa Hoffman(Alliance of Artists Communitiesエグゼクティブディレクター/アメリカ合衆国)

ディスカッション ”Perspectives on Evaluation”
モデレーター:Lea O’Loughlin(Res Artis理事長、Acme共同ディレクター)
登壇:Marianne Magnin(the Cornelius Arts Foundation理事長/イギリス)、Diane Isabelle(Council of Art and Letters in Quebec/カナダ)