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レポート&インタビュー2023.7.5

京都市内の滞在制作型文化芸術活動に関するアンケート調査〔報告〕

京都市では、文化首都・京都として、文化に触れる機会や文化芸術の担い手の育成、創造環境を整備するとともに、アーティスト・イン・レジデンス連携拠点事業をはじめ、京都芸術センターで実施するアーティスト・イン・レジデンスプログラムなどを通して、広く世界の文化を受け入れ、新たな文化を生み出す文化交流の促進に資する取り組みを実施しています。

本調査は、京都市におけるアーティスト・イン・レジデンスに係る機能の強化や、世界に向けた情報(魅力)発信の更なる推進のための情報収集を目的として、国内及び国外からのアーティストが毎年どのように京都市内に滞在し、文化芸術活動を行っているかを調査するものです。調査は招へい者となる京都市内に拠点をもつ文化機関に対し実施しました。調査結果の抜粋を公開します。

調査概要

調査実施者

京都市(実施受託:京都芸術センター〈公益財団法人京都市芸術文化協会〉)

調査対象

京都市内に拠点をもつ文化機関・団体

調査期間

2023215日~314日(28日間)

調査方法

インターネット調査

回答数

26

有効回答数

26

無効回答数

0

※「アーティスト・イン・レジデンス事業及び類似事業」とは、京都市外からアーティスト、クリエーター、芸術分野の研究者・専門家等(以下、アーティスト等)を概ね7泊8日以上の期間において招へいし実施する事業とする。アーティスト・イン・レジデンスプログラムとして実施していなくても、滞在制作型(概ね7泊以上)の事業であれば、本調査の対象とする。

調査結果(抜粋)

2022年に京都市外から招へいした国内アーティスト数

回答のあったアーティスト・イン・レジデンス実施団体の、国内のアーティスト招へい数は計56人、国外のアーティスト招へい数は46人であった。

(国内/回答数12 無回答0

※回答を基にグルーピングしたグラフ
回答:0人(2)、1人(1)、2人(2)、3人(2)、4人(1)、10人(3)、11人(1

(国外/回答数10 無回答2)

※回答を基にグルーピングしたグラフ
回答:0人(2)、1人(1)、2人(1)、3人(1)、4人(1)、5人(1)、7人(1)、9人(1)、15人(1

アーティストを招へいした目的

発表(上演や展覧会、講演会等)を目的としたもの、作品制作や調査研究など、作品を発表する前段階をサポートするもの、ワークショップなど交流目的のものなど多様な目的でアーティストは京都に滞在している。
回答数: 12(複数回答可)

作品制作 66.7%8
調査・研究 58.3%7
上演 25%3
展覧会 58.3%7
講演会やトーク 41.7%5
ワークショップ 41.7%5
その他 8.3%1

アーティストをどのように招へいしたか

アーティストからの自主的な申し込みにより滞在受け入れをする団体が最も多い。
回答数: 12(複数回答可)

公募 41.7%5
指名 41.7%5
他団体からの紹介 25%3
アーティスト等からの自主的な申し込み 58.3%7
その他 16.7%2

アーティストへ提供した滞在場所について

団体が保有する施設内に招へいアーティストを滞在させているのは全体の5割で、保有施設外に何らかの方法で滞在させる場合の方が多い。
回答数: 12(複数回答可)

所有施設内 50%6
提供を受けた施設(公的施設・ホテル等商用施設、個人所有の家屋、アパート) 25%3
金銭を支払って賃借した施設(公的施設・ホテル等商用施設、個人所有の家屋、アパート) 50%6
ホームステイ 16.7%2
その他 8.3%1

招へいしたアーティストへの支援内容(主催者の負担)

回答数: 12(複数回答可)

滞在場所提供 66.7%8
制作場所提供 91.7%11
発表場所提供 83.3%10
旅費 41.7%5
滞在費 33.3%4
作品の制作費 33.3%4
発表に係る費用 50%6
通訳・コーディネート 41.7%5
その他 0%

アーティストを1人(組)招へいし、事業を実施する際の予算

10万円以下と少額で実施している団体が半数を超える。
回答数: 12

~100,000円 58.3%(7)
100,001円~500,000円 25.0%(3)
500,000円~1,000,000円 8.3%(1)
1,000,001円~3,000,000円 8.3%(1)
3,000,001円~5,000,000円 0%
5,000,001円以上 0%

2019年から2022年に招へいしたアーティストのその後の京都での活動や関係

何らかのつながりを継続している(予定している)という回答が多く、アーティスト・イン・レジデンス事業終了後も関係性が持続していることが分かる。
回答数: 12

移住した 25.0%(3)
定期的に京都での制作や滞在が続いている 16.7%(2)
定期的ではないが継続した制作や発表の機会があった 41.7%(5)
現在まで実施はないが今後招へい・出展・コラボレーション等を予定している 58.3%(7)
継続した活動や予定はない 25.0%(3)

京都にアーティストを招へいし滞在制作型の事業を実施する際の課題や困難なこと

言語、予算、スタッフ、場所、ミッションや意義の共有などへの言及が多い。特に滞在費用の捻出や滞在場所の確保が事業の実施において困難な要因となっていることが分かる。
・スタッフの不足
・宿泊場所を持っていないため、その費用がかさむ。多数の応募や問い合わせに対して、ごく少数しか受け入れできてない。
・企業からの寄付の不足
・滞在費、渡航費の財源
・親会社と現地スタッフ、アーティスト、また現地で会う人たちとの意識や目的の違い。
・制作場所の確保が困難です。
・滞在施設を所有していないため、制作スタジオや劇場への移動等利便性をふまえた滞在場所のコーディネートに毎回苦慮しています。特に近年、京都のウィークリーマンション等長期滞在施設の料金が高騰しているため、予算の上限と快適な滞在環境の両立には苦慮するところです。

京都にアーティストを招へいし滞在制作型の事業を実施する際に、あったらよい支援やサービス

通訳サポート、予算(補助金)、制作・滞在施設、人員、地域との交流機会、広報、地域企業の理解と協力、ビザ等渡航支援、施設間連携の活性化などの支援やサービスを期待する声が寄せられた。特に複数年度とするなど使いやすい補助金、共有して使える宿泊施設、市内の施設間の連携についての言及が多い。
・美術館と大学の連携や、通訳サポートがあれば良いなと思います。
・滞在制作できる施設や、運営するための資金、人員調達など。また、地域企業の理解と協力。
・芸術関連施設の連携
・移動が便利な場所に滞在場所や制作場所があれば良いのではないか。
・コーディネーターやテクニシャン、通訳(特に英語以外)の人材バンク的なサービス。
・空き屋や休眠住宅の仲介。
・地域コミュニティのマネージャーやキーパーソンとの仲介。
・使途が柔軟な補助金。
・市内の宿泊施設の協力を得て、公費で宿泊費を負担することで、短・中期の滞在を可能にする。まちぐるみの事業という認識を広げて、公的助成により食事と入浴(銭湯)の割引もしくは無料化を実現。滞在に対する対価としての成果物を期待するのではなく、アーティストが街に滞在すること自体で、街の活性化や京都の広報になるように、情報の発信力に期待をする。
・共同の制作場所。シェア・ワークスタジオ。

調査を終えて

 回答数は26件で、うち12件がアーティストを京都市外から招へいする滞在制作型事業を実施していると回答した。京都市内には多くの「アーティスト・イン・レジデンス」関連事業の事業者が既に存在していると言える。また、ギャラリーや複合型文化施設、教育団体など、多様な事業者が実施していることも特筆すべきである。
京都市内のアーティスト・イン・レジデンスの実施主体は、必ずしも滞在場所を保有しておらず、外部の宿泊できる施設を利用するなどしているケースも多いことが分かった。滞在できる場所が確保しやすくなる仕組みや滞在施設を有する施設と事業を行う団体との連携などによって、アーティスト・イン・レジデンスがより活発化すると考えられる。
 ただ、事業者あたりの招へい者数が少なく小規模な事業が多いこと、予算が少なくアーティストのセルフファンドの事業が多く条件面でアーティストの選択肢が少ない点などが、課題として考えられる。
 招へいアーティストとの滞在後の関係を聞いた設問では「移住した」ケースも3件あったほか、その後も継続した制作や発表を行うなど何らかのかたちで関係性が続くという回答がほとんどで、アーティスト・イン・レジデンスは単に短期的な滞在をするというだけではなく、滞在後もアーティスト活動を通して関係性が続く場合が多いことが本調査からも明らかになった。
 必要とされる支援としては、経費の支援や滞在場所・制作場所への言及が多く、特に滞在場所・制作場所については他事業者との共同利用ができるものがあれば、という提案が多かった。ネットワークやミートアップの機会を求める声も含め、小規模事業者が補い合って事業を実施できる基盤ができると、京都全体でアーティストの滞在制作を受け入れる、京都モデルのアーティスト・イン・レジデンスとなるのかもしれない。
(調査担当:勝冶)

本件に関する問い合わせ先
京都芸術センター(公益財団法人 京都市芸術文化協会) 
Eメール:info@kac.or.jp / 電話:075-213-1000