

「TOUCH JAPAN」は、国際的なアーティスト・イン・レジデンスの連帯ネットワークである「#ResidenciesWithoutBorders」の趣旨に賛同し、日本におけるアーティスト・イン・レジデンス(AIR)の現場から、紛争や社会的混乱によって制作や移動の自由を大きく制限されているアーティストに対して、何らかの支援や関係性のための接点をつくることができないかという思いから、PARADISE AIR(千葉)、さっぽろ天神山アートスタジオ(北海道)、青森公立大学 国際芸術センター青森(青森)、AIR_J(京都)の有志によって、ウクライナが危機的状況となった、2022年4月に立ち上げた窓口でした。
主にGoogle Formsからの問い合わせに対して、個々の状況を確認しながら、日本での滞在や制作の可能性について情報提供を行い、既存のAIRプログラムや自主滞在の選択肢を紹介するほか、必要に応じて関係機関と個人をつなぐなど、小さなかたちではありますが相談対応を行ってきました。フォームの公開から現在まで、80の国と地域から313件の問い合わせが寄せられています。

#ResidenciesWithoutBorders
いまほど国境によって創造的活動のための移動が妨げられている状況はありません。日常生活と、何よりも命が失われていく世界に直面し、日本にいる私たちは互いに寄り添うことの大切さを一層感じています。私たちは、いかなる国家間の争いの影響に流されることなく、これまでとかわらず全てのアーティスト、アート関係者に対して、平穏な日常生活、制作活動の場を提供したいと考えています。
大きく揺らぐ世界情勢の中、こうした議論に参加し、同じように賛同を示し態度を表明した日本のAIRとその運営者、関係者は、日本に滞在を希望するアーティストからの相談や問い合わせ、提案を受け付け、AIRの紹介をはじめ、滞在に関してできる限りのサポートをします。
ResidenciesWithoutBorders賛同者一同
2022年4月
一方で、この数年の実践を通じて、こうした国際的な危機に向き合うためには、「窓口」や「枠組み」としての取り組みだけでは、十分に応えきれない現実も強く感じるようになりました。アーティスト一人ひとりが置かれている状況はあまりに異なり、必要とされる支援や関わり方も、きわめて個別であるからです。そのため、「TOUCH JAPAN」としての呼びかけやフォームの運営、相談といったかたちは、ここで一区切りをつけることにしました。これは、紛争や不公正な状況に対する問題意識が薄れたということでは決してありません。むしろ、今後はより具体的な方法と単位で、個別の連絡や対話を通じた関わり方へと移行していきたいと考えています。
今後、制作や滞在、リサーチに際して日本との接点を必要とするアーティスト、あるいはその相談を受けている主催者や支援者には、これまでのような一括した枠組みではなく、直接の連絡を通じて対応していく予定です。状況や時期によってはご希望通りにお応えできない場合もありますが、それでもなお、一人ひとりの声に耳を傾ける姿勢は持ち続けたいと考えています。また、日本国内でAIRを運営している施設やプログラム、あるいは個人として #ResidenciesWithoutBorders の理念に共感し、それぞれの形で関わりたいと考えている方とのつながりも、今後はより緩やかで柔軟なネットワークとして続いていくことを願っています。フォームの公開は終了しますが、連帯の意思そのものが失われるわけではありません。
不確実性と分断が深まる時代において、AIRが果たしうる役割とは何か。
その問いに対する答えは、決して一つではなく、また固定されたものでもないはずです。「TOUCH JAPAN」の取り組みを通じて重ねてきた経験や対話が、今後それぞれの現場で行われる実践や判断のなかに、何らかのかたちで生かされていくことを願っています。
今後、日本での自主滞在やリサーチ、制作の機会について検討を希望される場合は、下記団体をはじめ、各アーティスト・イン・レジデンス施設やプログラム、または個人で活動している主催者に対し、状況に応じて直接お問い合わせいただければ幸いです。
・PARADISE AIR
・さっぽろ天神山アートスタジオ
・青森公立大学 国際芸術センター青森
・AIR_J
・Arts Initiative Tokyo
・大石田AIR
・青雲館AIR
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